経理職として働いている方や、これから経理を目指す方にとって、自分の給与が世間の相場と比べて高いのか低いのかは気になるポイントではないでしょうか。経理はどのような企業にも不可欠な存在であり、専門的なスキルが求められるため、キャリアの築き方次第で着実な収入アップを目指せる職種です。
この記事では、厚生労働省が発表している公的な最新の統計データをもとに、経理職の平均年収の現状を企業規模や年齢ごとに分かりやすく解説します。さらに、経理として効率的に収入を高めていくための具体的な方法や、市場価値を上げるためのスキルの磨き方についてもまとめました。現在の給与に不安がある方や、これからのキャリアプランを構築したい方はぜひ参考にしてください。
経理職の平均年収の現状と市場相場
経理職の給与水準を知るための信頼できる指標として、まずは国が発表している公的な統計データを確認してみましょう。
厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査」によると、経理職が含まれる会計事務従事者の平均年収は約460.3万円となっています。
国税庁の「令和4年分民間給与実態統計調査」による民間企業の給与所得者全体の平均年収(約458万円)と比較すると、経理の年収は全体平均と同等か、やや高い水準にあることが分かります。一般的な事務職の平均年収(約337万円)と比べると、専門職としての優位性がはっきりと表れています。
経理の仕事は、日々の帳簿付けといった基本業務から、決算業務、税務申告、資金繰りの管理まで、企業の財務基盤を支える知識が必要です。未経験からスタートできるアシスタント業務から、高度な判断必要とされる管理職まで業務の幅が広いため、個人のスキルや経験が給与へ反映されやすいのが特徴です。
企業規模や年齢でどう変わる?経理の年収格差
経理の年収は、すべての企業で一律というわけではありません。働く環境や年齢、これまでの経験によって金額に差が生まれます。給与を左右する要素である企業規模と年齢の2つの切り口から、年収がどのように変化するのかを見ていきましょう。
企業規模による年収の違い
企業の規模は、経理の年収に影響を与える要素の一つです。大企業と中小企業では、扱う資金の規模や会計基準の複雑さが異なるため、ベースとなる給与体系にも差が生じます。
以下は、厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査」のデータをもとに、企業規模別の平均年収を算出したものです。
| 企業規模(従業員数) | 平均年収 | 主な特徴と業務範囲 |
|---|---|---|
| 1,000人以上 | 約526.2万円 | 連結決算や国際会計基準への対応など、高度な知識が求められる。分業制が主流。 |
| 100人~999人 | 約444.0万円 | 決算業務を一通り1人で担当するなど、マルチな活躍が期待される。 |
| 10人~99人 | 約422.6万円 | 経理業務だけでなく、総務や人事などのバックオフィス全般を兼任することが多い。 |
大企業では福利厚生や賞与の支給基準が手厚いことに加え、グローバル展開に伴う高度な税務知識が必要とされるため、年収が高くなりやすい傾向があります。一方の中小企業では、年収水準は低めになるものの、会社の経営数字全体を俯瞰して見られるという、大手にはない実務上の経験を積むことができます。
年齢別の年収推移と傾向
経理職は、経験年数が積み重なるほど市場価値が高まる職種です。そのため、年齢とともに順調に昇給していくケースが一般的です。同じく厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査」より、年齢ごとの年収推移のデータを表にまとめました。
| 年齢 | 平均年収 | 業務の傾向と求められる役割 |
|---|---|---|
| 20代前半 | 約303.3万円 | 実務の基礎を学ぶ期間。日々の仕訳入力や経費精算が中心。 |
| 25代後半 | 約374.3万円 | 月次決算のアシスタント業務など、徐々に業務範囲が広がる。 |
| 30代前半 | 約433.8万円 | 主担当として決算業務を完結できるスキルが身につく時期。 |
| 30代後半 | 約474.8万円 | 税務申告の補助や、チームの後輩を指導するリーダー候補としての役割。 |
| 40代前半 | 約514.4万円 | 予算管理や経営分析など、より上流の業務に関わる機会が増える。 |
| 40代後半 | 約527.0万円 | 統計上のピーク。管理職としてのマネジメント成果が求められる。 |
このように、年齢を重ねるごとに実務の作業者から組織の管理者やアドバイザーへと役割を変化させていくことが、年収を伸ばす基本のルートとなります。
経理が年収1,000万円を目指すことは可能か
経理職で年収1,000万円に到達することは十分に可能です。ただし、日常的なルーティンワークをこなしているだけでは、この金額に届くことはありません。年収1,000万円を超える経理パーソンには、共通したキャリアの選択肢があります。
管理職(マネジメント層)への昇格
社内で評価を高め、経理課長や経理部長、さらには管理本部長へと昇格していく道です。単に数字を集計するだけでなく、経営陣に対して財務面からのアドバイスや意思決定の判断材料を提供できる存在になる必要があります。また、メンバーの育成や組織マネジメント能力も必須となります。
大手上場企業や外資系企業への転職
給与原資が豊富な企業へ身を置くことも確実な方法です。特に外資系企業では、英語力と国際会計基準の知識を掛け合わせることで、30代後半から40代前半という若さで高い年収を勝ち取るケースが見られます。
CFO(最高財務責任者)へのキャリアアップ
スタートアップやベンチャー企業、または中小企業のCFOとして迎えられるキャリアです。資金調達、IPO(株式公開)の準備、M&A(企業の合併・買収)の交渉など、企業の命運を握るファイナンスのプロフェッショナルとして活躍します。大きな責任を伴う反面、業績に応じたインセンティブやストックオプションなどにより、高い収入を得られる可能性があります。
経理職で効率的に年収を上げる4つのアプローチ
現在の年収に満足していない場合、どのような行動を起こせば効率よく収入を増やすことができるのでしょうか。取り組みやすい具体的なアプローチを4つ紹介します。
1. 業務に直結する資格を取得する
資格は、自分の専門性を客観的に証明するための分かりやすい武器です。経理としての市場価値を高める代表的な資格には、日商簿記検定2級・1級、米国公認会計士(USCPA)、税理士などがあります。企業によっては、これらの資格を保持しているだけで毎月数千円から数万円の資格手当が支給される場合もあります。
2. スキルアップをして担当業務の幅を広げる
日常の伝票処理だけでなく、より付加価値の高い上流工程の業務に自ら手を挙げてチャレンジしましょう。具体的には、予算と実績の差異を分析して経営陣に改善策を提案する管理会計のスキルを磨く、あるいは税務署対応や資金調達の交渉といった、難易度の高い実務を経験させてもらうことです。属人化しやすいコアな業務を任されるようになれば、社内での存在感が高まり、昇給の交渉もしやすくなります。
3. 社内の評価制度を理解し昇格を目指す
現在の会社で年収を上げたいのであれば、自社の評価制度や給与規定をしっかりと確認することが大切です。何を達成すれば役職が上がるのか、どのような成果がボーナスに反映されるのかというルールを知ることで、効率よく目標を達成できます。定期的な面談の場を利用して、上司に昇格に向けた課題を確認し、計画的にクリアしていく姿勢を見せましょう。
4. 経理専門の転職エージェントを活用する
最もスピーディーに、かつ大幅に年収をアップさせられる可能性があるのが転職です。特に、中小企業で決算から税務まで1人でこなしているものの会社の給与水準自体が低い場合や、高難度資格を持っているのにルーティンワークしか任せてもらえない場合は、転職によって市場価値に見合った適正な給与を手に入れられる可能性が高いと言えます。
転職活動を進める際は、総合型の転職サイトを利用するよりも、経理・財務に特化した専門のエージェントを活用することをおすすめします。経理専門の転職エージェントである「経理Jobs」では、一般の求人サイトには掲載されていない非公開求人や、上場企業・管理職候補の求人を多数保有しています。各企業の経理部門がどのようなスキルを求めているかを熟知したキャリアアドバイザーがサポートするため、自分の強みを最大限に活かした年収交渉が可能です。
経理Jobsは、実務未経験からでも一歩を踏み出せる求人と、手厚い書類・面接対策に強みを持っており、初めての転職活動でも安心して進められます。今の会社でこれ以上年収が上がる見込みがないと感じたら、まずは一度相談してみると良いでしょう。
経理の年収に関するよくある質問
経理職のキャリアや給与について、求職者の方から頻繁に寄せられる疑問をまとめました。
経理は未経験からでも高年収を狙えますか?
未経験からスタートしてすぐに高い年収を得ることは難しいのが現実です。最初は年収300万円台からのスタートとなるケースが大半を占めます。しかし、経理は実務経験の積み重ねが何より重視される職種です。未経験からアシスタントとして入り、3から5年かけて決算実務を1人で回せるようになれば、そこからの転職や昇格で一気に年収500万円以上へステップアップしていくルートが開けます。まずは簿記2級を取得し、実務経験を積める環境を選ぶことが先決です。
一般事務から経理に異動・転職すると年収は上がりますか?
年収は上がりやすくなります。一般事務の仕事は定型的なサポート業務が多く、誰でも代替しやすいと判断されがちなため、どうしても給与の天井が低くなります。一方で経理は、法律や会計基準の改正への対応が必要な専門職です。一般事務から経理へシフトし、専門的な実務経験を身につけることは、長期的なキャリアにおいて生涯年収を引き上げる有効な選択肢となります。
経理職の将来性は?AIの普及で年収は下がりますか?
AIやクラウド会計ソフトの進化によって、単純なデータ入力や仕訳の自動化は進んでいます。そのため、ただ数字を打ち込むだけの作業しかできない場合は需要が減少し、年収も下がる可能性があります。しかし、自動化された数字の正しさをチェックするスキルや、数字の背景にある経営課題を分析して改善策を提案するスキル、税法を踏まえた高度な税務判断などは、今後も人間にしかできません。テクノロジーを使いこなし、付加価値の高い業務にシフトできる経理の市場価値と年収は、今後も高まっていくと予想されます。
まとめ
経理職の平均年収は約460.3万円が相場ですが、企業規模、年齢、役職、そして本人の持つ専門スキルの深さによって、その金額は350万円から1,000万円以上まで大きく変動します。
経理として着実に収入を増やすためには、ただ毎日のルーティンワークをこなすだけでなく、資格取得や決算実務への挑戦を通じて、常に自分の市場価値をアップデートしていく意識が欠かせません。
もし、現在の職場でどれだけ成果を出しても給与体系が変わらない、自分のスキルに対して評価が低すぎる、と感じているのであれば、外の市場に目を向けてみる絶好のタイミングです。
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